静岡の磐座


山宮浅間神社やまみやせんげんじんじゃ
静岡県富士宮市山宮740


■富士山の神霊が降臨する磐境

 富士山本宮浅間大社は、富士山の山頂に奥宮、 富士宮市街地に本宮があり、本宮より5キロほど 上った標高380メートルのところに山宮がある。 本宮から山宮に向かうと、富士山に近づいている という実感がする。山宮とよばれる由縁だろう。 山宮は富士山を神体として祀る「浅間信仰」の原 初の姿を留める貴重な神社とされ、市街地にある 本宮を里宮といい、山宮と区別してよばれている。
(『磐座百選』より一部抜粋)





渭伊神社いいじんじゃ
静岡県浜松市北区引佐町井伊谷字天白


■井伊家発祥の地に眠っていた磐座

1989年3月5日、朝刊各紙に 「古墳時代の巨石祭祀、静岡で発見」という記事 が載った。 遺跡が発見されたのは、渭伊神社本殿の裏山。 岩石は露出した自然石のチャート。巨石は頂 部にあり、一つは高さ7メートル、長辺11 メートル、短辺六6メートルで、もう一つは高 さ5メートル、6メートル四方の大きさ。こ の周辺に1~2メートルの中小の岩が散在。  巨石の写真とともに、「大岩などを神霊が宿り、 神が鎮座する石座として祭った、古代の祭祀をう かがい知る全国でも有数な遺跡として注目されて いる」とあり、古墳時代中期末から同後期前葉の 巨石祭祀遺跡と紹介されている。
 所在地は浜松市北区引佐町井伊谷字天白 。 字名をとって「天白磐座」とよばれている。井伊谷は、 井伊谷川と神宮寺川に挟まれた、文字通り「井伊 の谷」ともいえる小盆地だ。遺跡は盆地の西寄り、渭伊 神社境内にひっそりとたたずみ、忘れられて いた。井伊谷川と神宮寺川は、南東1キロほどで 合流して井伊谷川となり、さらに22.5キロほど 下流で 都田川とともに浜名湖に流入する。地名 から推測できるとおり、豪族井伊氏の本拠地だっ たところだ。この井伊氏がのち徳川家譜代の彦根 藩主となる。
(『磐座百選』より一部抜粋)





伊古奈比咩命神社いこなひめのみことじんじゃ
静岡県下田市白浜字長田


■伊豆諸島の神が依りつく大明神岩

 伊豆急下田駅から温泉街をぬけ、東伊豆道路を 相模灘に沿って北上すると、白浜海岸が見えてく る。海岸の先に、緑に覆われた岬のような台地が 見える。この台地に白濱神社が鎮座している。神 名帳に「伊古奈比咩命 (いこなひめのみこと) 神社」とあるが、白濱神社と通称されている。 主祭神は伊古奈比咩で、相殿に三嶋大神を祀る。
 台地の先端には「大明神岩」とよばれる巨大な 岩礁があり、伊豆諸島に向かって赤い鳥居が立っ ている。岩礁の手前は切り立った断崖で、かつて 崖下には「御釜」とよばれる巨大な岩穴が口を開 け、海蝕洞を通じて海水が流れ込んでいたという が、崖が崩落して半ば埋もれてしまった。現在、 御釜は柵がしてあり、海水を湛えた神秘的な姿を 見ることはできない。
(『磐座百選』より一部抜粋)




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